『 白銀の墟 玄の月』感想(4)阿選は何故謀反を起こしたのか

今回も戴という国の前代未聞の状況を紐解いていきます。

そう、

何故こんな事態になったのか。

阿選は何故謀反を起こしたのか―?




正直、今回の新作を読んでますます分からなくなりました。。


ど、どゆこと?(・・;

思わずそうつぶやかずにはいられない阿選サイドを語ります。(もちろんグダグダでw)

ネタバレ注意やでぇ〜


イラスト 『 白銀の墟 玄の月』(二) P.31挿絵

まず、十二国記の世界で「謀反」、つまり天が決めた王に逆らうことは珍しいことではないようです。


偽の王が立ったり、王や王を選ぶ麒麟に危害を加える者、我欲に走る者、数多といます。

だから、戴で謀反があり、王や麒麟に危害を加える者が出ることに違和感はありませんでした。


実際、謀反を起こした阿選は、驍宗が王となる以前からライバル的存在で、どちらが王になるか、と周りが騒ぎ立てるほどの優れた人物だったのです。


そこまで張り合う二人なら、どちらかが王という勝者となり、どちらかが臣に下る敗者となることを腹立たしく思うこともあるだろう、と思います。


が。


今回の物語を読むと、阿選という漢がそんな嫉妬や妬み嫉みで王を弑逆するような人物には思えなくなりました。。


阿選の麾下、

今のところ登場した部下たちもことごとく好漢…(;_;)

阿選は驍宗と並び称された将であり、その麾下も優秀で品行の良い者が多いのです。


以下、阿選の麾下たちです。

・午月(ごげつ)…王の身辺を警護する小臣。ただし、現在彼らは阿選の側にも寄らせてもらえず放置されている。このような事態(王と泰麒の失踪)になったことは麾下である自分にも責任があると思っている。

・帰泉(きせん)…阿選麾下。阿選大好き。驍宗よりも阿選が王に相応しいと思っているし、だからこそ阿選は謀反を起こしたのだと思っている。しかし謀反以降、阿選からは放置され、自分の能力不足のせいで指示がもらえないのか、と悩んでいる。

・品堅(ひんけん)…帰泉の上官。阿選の生え抜きの麾下ではないものの、人柄も良く実績もあるので部下からも信頼されている。このような事態になったことを憂いている様子。

・伏勝(ふくしょう)…阿選軍の旅帥だった。部下にとっては大らかで気安く話せる良い上司。午月が現状に対して複雑な思いを寄せていることに同意し、憂いている様子。

・恵棟(けいとう)…阿選軍の幕僚。優秀な人物だったが謀反以降、放置され無位無冠だった。泰麒が帰還した後、泰麒補佐に抜擢される。泰麒にとっては阿選麾下なので信用されていなかったが、恵棟自身は真摯に泰麒のために奔走し、なんとかこの現状を打破しようと動いている。

・友尚(ゆうしょう)…恵棟の友人で現・禁軍の右軍将軍。片付けはできないが有能らしく、現状を客観的かつ冷静にみることができる。ただし、今の状況について、阿選は罪の報いを受けるのではないかと思って憂いている様子。

彼らから見た阿選についてまとめてみました。


・阿選はすべて放置している



これは阿選麾下でなくとも、驍宗失踪6年後の戴の民の多くが感じていることだと思いますが、最初こそ政を行おうとした形跡があるものの、現在はほとんど放置しており、阿選は何もしていません。

これぞまったく理解できない状況なんですけどー_| ̄|○ il||li



阿選は何がしたかったのか?

仮に嫉妬や妬み、驍宗よりも自分が優れていると思うなら、驍宗よりも優れた政をしようと試みるはず。

玉座を奪うだけ奪って何もしないとはどういうことなのか。


・「阿選様は燃え尽きてしまったように思える。まるで驍宗を倒すこと、それ自体が目的だったかのように…」

これは恵棟の発言です。

恵棟はあくまでライバル心から阿選がこの謀反を起こしたのだと思っているようですね。

しかし、一方で朋友である友尚との会話では以下のようなことも言っています。

・阿選は「心情的には(驍宗に対して)好意がある」ように見えた。

・好敵手として距離を保つことで緊張感を楽しんでいるように見えた。

・部下同士も、こいつらと共に騒げば楽しいだろうと思うこともあったが、主同士が距離を置こうとしているので、お互いあえて距離を保っていた。

・友尚は、二人が王と臣下として決着がついたことは、無理に競い合うことも距離を置く必要もなくなり、気が合う者として親しくなるのではないかと思ったし、恵棟も、あながち的は外していないとも思った

・驍宗が王だったという一報を聞いたとき、阿選は微苦笑を浮かべていた。むしろ、阿選を慕う麾下たちの方が無念だった

・驍宗が昇山する際、実は驍宗から相談を受けていた。将軍二人がともに戴を離れ、治安が悪化することを懸念して、阿選は驍宗に先に昇山するように勧めていた

・驍宗が王になった後、阿選が蔑ろにされることは一切なく、むしろ阿選麾下も含めて大変重用された



このように、阿選と驍宗は優れた人物として並び称され、比べられることこそあれ、本人たちはお互いを尊重し合っているように見えていたようです。だからこそ、阿選に近い場所にいた恵棟、友尚は、実際に謀反が起こるまでまったく予想もしていなかったし、事が起こったことに非常に驚いた、と言っています。


また、驍宗が失踪した当時、驍宗とともに文州へ向かったのは阿選麾下だということが分かっていますが、その中にいた品堅、帰泉もまた、謀反などという計画は一切知らされておらず、王である驍宗とともに土匪の反乱を鎮めることが仕事だと信じていたようです。


つまり、


阿選の麾下は誰一人として謀反の計画を知らなかったのです…。



では次に、

李斎たちの聞き込み調査によって明らかになってきた、驍宗失踪当時の様子をまとめながら、引き続き「何故阿選は謀反を起こしたのか」を考えていきます。


・赤黒い鎧をつけた顔色の悪い武将たち(2、3人)と驍宗が相談しているところを民が目撃。彼らは一般人らしき男を示しながら何かを驍宗に説明していた様子。しかし、この赤黒い鎧をつけた武将たちは、驍宗失踪後に志邱(しきゅう:地名)を誅伐し、女子供を嬉々として狩った者だった

・驍宗と話をしていた一般人らしき男について。基本は王と一般人が話をすることは不可能である。おそらく仲を取り持った者がおり、驍宗が断りにくい相手となると、このとき阿選軍を率いていた品堅ではないかとのこと。

・山越えで轍囲(てつい:地名)か函養山へ向かう細道で、驍宗らしき姿を見た。兜はつけておらず、黒の鎧に御髪は白。
ごく普通に急いでいるようではあったが不審な様子はなかった。周囲の兵卒は赤黒い鎧で統一されていた

・驍宗は自ら行軍の隊列から離れた、という阿選側の話は本当のようである

・上記の一団が夕刻頃に引き返してきた。半数ほど減っており、怪我人もいた様子。急いでいる様子はなく、ニヤニヤと押し殺した笑いを浮かべていた

・驍宗はこの赤黒い鎧を着た者たちに襲われたと思われる。が、隊を離れる前夜、驍宗は霜元から腕の立つ手勢を借りていった。理由は霜元にも伝えていない。(霜元の手勢も驍宗もろとも姿を消している)

・この赤黒い鎧を着た者たちは「赭甲(しゃこう)」と呼ばれていた

・赭甲はゴロツキの土匪(どひ)が震え上がるほど残忍で腕が立った


李斎はこの腕が立つという赭甲という者たちに覚えがなく、阿選軍の者にそんな集団がいたか?と疑問に思っています。先述した通り、阿選軍の兵卒は品行の良い者が多く、阿選の生え抜きの麾下ではなさそうですね。



以上からわかること、それは…

謎が増えた…(´・ω・`)


赭甲ってなんやねん?!
一般人の男って誰やねん?!
なんで驍宗は隊列から離れたんや?!


それにしても、こんなにも部下に慕われる阿選が我欲や嫉妬に自分を見失って暴挙に出たなんて思いたくないというのが正直なところです。

いや、

やっぱなんかおかしい、、


恵棟は、麾下にも悟られることなく自分の胸一つでこの謀反を実行したことに対し「何があったのだろう」と思っています。

もしかしたら本当に何かがあったのではないだろうか。それを決意されるほどの何かが。


つまり、阿選には正当な理由がある。驍宗側に何かが起こったー


そんな可能性が僕の頭の中に芽生えてきたのでありました。

ちなみに、阿選大好きの帰泉と品堅のやりとりの中で、「あのころ驍宗殿が既に失道していたとしたら」という発言があります。
驍宗が国にとって「悪」であった場合、それを撃った阿選に罪はなく、故に次の王となる資格がある、と。

・驍宗「悪」説。


考えたくないですが一つ、浮上してきましたよ理由がさー、、

まあ、「悪」というより何かが起こって国に良くない事態になってしまった、という感じだと思いますが。


もしくは、

これだけ気の合う優れた二人。もしかしたら他の誰かをあぶり出すために二人で画策してたりしてー、という夢も見ています。

・驍宗共犯説。


つまり、驍宗は殺されたふりをして、実は阿選と組んでいる、とか。二人は仲良しのままですよ(笑)…それにしては人が死にすぎるとも思いますがね(;_;)
不測の事態にいち早く気づいた二人が、二人だけで動かざるを得なかった、、て感じを希望。。



最後に、

阿選は何者かに操られている説。。



あまりに相反する阿選の言動には違和感しかありません。もしかしたら、幻術、妖術で操られていたり??


考えれば考えるほど泥沼にハマりますな(´Д`)ハァ…


Bocchi talk

アニメ・漫画について一人でしゃべり倒します。現在、『十二国記』『忍たま』『鬼滅の刃』にハマり中。

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